【超重要法改正】平成29年の改正で大きく変わる消滅時効の制度の概要

平成29526日、「民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)」が成立し同年62日に公布されました。

令和2年(2020年)41日に施策されるこの改正は、債権回収に関する重要な知識である債権の消滅時効に関するもので、それまでの用語やルールが大きく変わるものになります。

このページでは、平成29年の法改正で変わる債権の消滅時効に関する改正の内容についてお伝えします。

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 2020331日まで適用される債権の消滅時効に関する規定

 まず、従来の債権の消滅時効に関する規定について復習しましょう。

なお、2020331日までに発生する債権については、ここにある規定の内容で適用がされるので注意が必要です。

時効の期間

 債権については基本は10年の消滅時効が設定されており、その他民法や特別法の規定によって時効完成までに必要な期間が10年未満になる、「短期消滅時効」が設定されています。

代表的な短期消滅時効にかかる債権としては、2年の消滅時効にかかる弁護士の報酬(民法172条)、3年の消滅時効にかかる不法行為損害請求権(民法724条)、5年の消滅時効にかかる商事債権(商法522)が挙げられます。

 詳しくは、【最新法改正対応!】債権の時効について3分で理解できる完全解説、も参照してください。

 時効の援用

 消滅時効については時効期間が経過すれば当然に債権が消えるわけではなく「援用」という行為が必要であるとされています(民法145条)。

「援用」とは、時効の制度を利用します、という意思表示を相手に表明することをいいます。

条文を見ると、相手に債権についての裁判を起こされた時に、裁判上の主張をするような書き方がされていますが、実務上は裁判前にも援用を通知することで行います。

援用の通知は配達証明付きの内容証明を使います。

時効の援用については、【最新改正対応!】弁護士が教える消滅時効の援用についての基礎知識、のページで詳しく取り扱います。

 時効の中断

 一定の期間が経過すると時効で債権が消滅してしまうのですが、債務者が支払いについてのらりくらりとしている間に時効期間が経過してしまうこともあり得ます。

そのため、債権者としては時効で債権が消滅するのを防ぐために、訴訟をするなどの行動を起こしている限りは時効が完成しないようにすることができます。

そのための行動の事を「時効の中断」と呼んでいます(民法147条以下)。

 時効の停止

 天変地異や法定代理人が死亡したような場合など、適切な債権の行使を期待できないような事情が発生しているときにも問答無用で時効がすすむとするのは妥当とはいえません。

そのために債権の適切な行使が期待できなくなったような場合には、債権が行使できるようになってから一定期間経過するまでは時効が完成しないする制度のことを、時効の停止と呼んでいます(民法158条以下)

 平成29年の時効に関する改正

 それでは平成29年の改正によってどのような点が変わったのでしょうか。

 時効についての規定の改正の趣旨

まず、平成29年の改正の背景や趣旨について知りましょう。

実は時効についての規定を含めて、民法の債権に関する規定は大幅に改正をしている最中です。

現行の民法は、明治29年に制定された後、戦後に家族法に関する改正がされたものと、民法現代語化に関するもの以外は、大きな改正もされずに約120年間運用されてきました。

そのため、民法は取引に関する基本的な法律であるにもかかわらず、現代の事情にあっていない、概念が分かりづらい、判例など明文化されていないルールがたくさんある、という状況でした。

そのため、もっと現在の事情にあったものにして、ルールを明文化して明確にした上で、わかりやすいものにしようとしたのが今回の改正の趣旨になります。

その一環として時効に関しては以下のような改正がされています。

 短期消滅時効の見直し

 まず、短期消滅時効に関する見直しが行われました。

従来の民法170条~174条の職業による短期消滅時効・商事債権に関する短期消滅時効は非常に細かいためわかりづらいという批判があった上に、その細かい規定に合理的な理由があるのかという指摘を受けていました。

そのため、一律の短期消滅時効については廃止されることになりました。

ただ、労働基準法115条に基づく給与債権についての2年の短期消滅時効を定めている規定については従来通り維持されておりますので、注意が必要です。

また、不法行為の請求権については後述します。

時効期間と起算点に関する見直し

 従来、時効の起算点は権利を行使することができる時から計算をしていました。

しかし、このままの規定で時効期間を一律にすると、時効期間が大幅に長期化されることになります。

だからといって短期化すると、債権の行使をすることができるようになっている事をしらないで時効を迎えてしまうような場合も発生します。

その折衷的な観点から、権利を行使することを「知った時」から5年、権利を行使することができるようになったときから10年という時効期間の規定になりました。

 生命・身体の侵害による損害賠償請求権

 何らかの行為により生命や身体を侵害した結果被害者に損害が発生した場合には不法行為損害賠償請求権が発生します。

また、契約上の債務が履行できていない・不十分であったことに起因する損害が発生したような場合には契約上で損害賠償責任を負うようなケースもあります。

前者の例としては交通事故によって被害者が死亡・怪我をしたようなケースで、後者の例としては医療過誤で被害者が死亡するようなケースが挙げられます。

この規定については現状、不法行為による損害賠償は損害と加害者を知ったときから3年で時効に、不法行為の時から20年の除斥期間になり請求できなくなります。

また、契約に基づく損害賠償請求権は債権に関する原則である10年での消滅時効にかかることになっています。

除斥期間とは、時効とは異なり期間の経過によって当然に消滅し、時効のように中断ができないものです。

しかし、生命・身体という法律で保護しなければならない重大な利益であるにもかかわらず、現在では医療が発達した結果治療が長期化するようなことがあり、すぐには権利行使をすぐにできないような場合もあらわれました。

特に、不法行為に関する消滅時効・除斥期間については、加害者を殺害後加害者の自宅の床下に埋めて死体を隠したようなケースで、殺害後20年が経過したような事例で、不都合な事例も発生しうることが指摘されていました(この裁判では時効完成・除斥期間の経過の主張を認めなかった)。

以上から、生命・身体の侵害によって損害賠償請求権が発生した場合には、知った時から5年・知らなくても20年と長期化することにした上で、除斥期間とされていた20年の規定を時効であると規定しました。

 定期金債権

定期的に、債権者が債務者から一定額の金銭など給付を受けることができる債権のことを定期金債権といいます。

「定期金債権」というのは言葉だけではわかりづらいのですが、イメージとしては年金で、年金受給権本体を「基本権」と呼び、毎回毎回返済をうけることができる権利のことを「支分権」と呼んでいます。

これに関しては改正前は、第一回の弁済期から20年または最後の弁済期から20年間で時効消滅すると定めていました。

この規定を、定期金債権に基づく支分権である定期給付債権を行使できることを知った時から10年間行使しないとき,又は定期給付債権を行使することができるときから20年間行使しないとき、には時効消滅すると規定しました。

 時効の中断・停止の見直し

 従来の時効の中断・停止に関する規定については、時効の効果である「時効の完成が猶予される」という効果と「新しく時効が進行する」という2つの効果があるものをわかりやすく整理すべきという観点からの改正がされています。

そこで、時効の中断・停止に関する概念を整理して、新たに「完成猶予」「更新」という形で整理をしました。

実際例は後述します。

 時効の援用権者

 時効の援用を行うことができる人については、民法145条は「当事者」と定めるのみで、では誰が当事者は「時効の完成によって直接の利益を受ける者」(最判昭和481214日民集2711586頁)という判例に基づく解釈によるものに頼っていたのですが、その判例から導き出されて援用権者であるという評価が固まったものについて明文化しました。

具体的には、債務者・保証人・物上保証人・第三取得者といった者と、権利の消滅について正当な利益を有する者、という形で明文化しています。

 新しい法律の下では債権はどう管理されるのか

 以上の改正を踏まえて、債権回収をする側として、新しい民法の下では時効が完成しないように債権を管理する方法について検討します。

 完成猶予と更新の基本的なイメージを掴む

 従来の債権管理においては時効の停止・中断に関する規定に基づいて時効を完成させないということが重要でしたが、この時効の停止・中断に関する規定が改正されて、完成猶予・更新というものになり、仕組みも変わるものなのでそのイメージを掴んでおくことが重要です。

 債務を承認させる

 まず、債務があることを承認させることについては、新法・旧法であまりかわりがなく、たとえば一部弁済をさせた場合に承認としての「更新」事由にあたることになります(改正後の民法152条)。

ですので、承認に該当する事由を書面などの証拠に残る形で行うなどの基本的な行動はかわりません。

 裁判上の請求をする場合

 従来であれば裁判上の請求をした段階で中断という事になっていましたが(民法147条)、新法では裁判提起により完成猶予となり(新法1471項)、その裁判が確定すると「更新」となります(新法1472項)。

こちらも概念は異なるものになっておりますが、実務的に行うことはあまりかわりません。

 催告をする(民法153条)

 従来であれば、催告を行うことで6ヶ月以内に裁判上の請求などを行うことで、時効の中断をすることができることになっていました。

新法150条では、まず催告を行うことで6ヶ月の完成猶予が、その6ヶ月以内に訴えを提起すれば新法1471項で完成猶予となり、裁判が確定すると「更新」されることになります。

 従来のように配達証明付き内容証明を利用するなどして、期日に関する規定を意識した行動を心がけましょう。

協議をする

 もともと債権の存在をめぐって争っているような場合に、時効完成が間近であると訴訟を起こさざるを得ないのが従来法でした。

しかし、訴訟を起こすということは当事者間の対立を深めるなどのおそれがあり、紛争解決を柔軟に行いたいという当事者の観点からは、もっと柔軟な事項の完成猶予事由を設けるべきという意見がありました。

そのため「協議」という新たな完成猶予事由が作られました。

この協議については、協議を行うことの合意があることが必要で、それを書面又は電磁的記録によって行うなどの規定がされており、猶予により1年の猶予期間(最大5年の猶予が可能)があります。

協議を利用した完成猶予を求める場合には、相手の協力が必要になるという特性があることを考慮して、要件を満たすために必要な書面をきちんと作成をすることが望ましいといえるでしょう。

 まとめ

このページでは、債権の時効に関する改正についての概要についてお伝えしてきました。

債権の消滅時効に関する規定については時効期間や時効の中断・停止といった重要な概念についての変更があるので、注意をするようにしましょう。

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